ホップフォワードなIPAを醸造するためのホップの量(ドライホップを含む全量)についてのメモ。
- アメリカンIPA 2~8g/L
- ウエストコーストIPA 8~16g/L
- ヘイジーIPA 16~22g/L
ネット上には6~8g/Lを超えるのホップ添加はむしろマイナスに働き、2~8g/L(記事により2~6g/L)がアロマを最大化するという旨の記事があった。
しかし、ウェストコーストやヘイジーに関しては情報開示しているブルワリーの中にドライホップだけでも22g/Lを投入しているところもあり、アロマは桁違いに感じる。
上記の2~8g/LはおそらくアメリカンIPAの話で、現代のホップフォワードなIPAには当てはまらないと認識している。
上記のホップ量はpellet90の話であり、cryoを使用する場合は半分~40%程度で同量扱いとなる。しかもホップの麦汁吸収量が減る為欠減が減り経済的。
ドライホップ時の糖度
ドライホップのタイミングは糖度が5度になったタイミングが好ましいと言われている。酵母は発酵後約3日で全てのエステルを作ると言われているので、その後にドライホップをしたいためだと認識している。
また、圧力下での発酵が望ましいとされている。
ダブルドライホップを行う場合、2度目のドライホップは最終比重到着後となる。
ドライホップの温度
温度は15度を推奨する記事をよく見る。中には20度で3日発酵後、糖度が5度になったことを確認しドライホップ→12度まで温度を下げるというスケジュールを推奨している記事もあった。
12度でも問題なく最終比重まで発酵し、ホップアロマは温度以外同条件で醸造したサンプルよりも格段に良かったそうだ。
低温下でのドライホップはgreenなアロマを添加しやすい為、2度目のドライホップ時に温度を上昇させてからドライホップする場合がある。(コールドクラッシュして澱引き後)
またホップの分量比は、例えばシトラ、シムコ―をドライホップする際同量を入れるよりも比率を変えた方がよりアロマの輪郭がくっきりと出るようである。
ドライホップにホップバックは必要か。
ペールエール
ドライホップの際のネット(ホップバック)は使用すべきだろうか。私自身ペールエール2g/Lでネットあり、なしを同条件で作ってみたら以下の結果になった。
- シトラス系アロマ ネットあり〇
- グラッシー ネット無し〇
- 口当たりネットあり〇
- 総合的なアロマ ネットあり〇
また、ネットは吊るすよりも自由に浮かせている方がアロマがかなり強かった。おそらくタンク内での動きが増え、麦汁との接触面積が増えたため。
ネット無しはかなりグラッシーな味と香りになり、ポリフェノール感の残る口当たりになった。が、冷却機能がしっかりしている装置ならもう少し良い結果になりそうではある。
アメリカンIPA
次にアメリカンIPA4g/Lをネット(ホップバック)ありなしで醸造した結果が以下である。
- 果物の輪郭 ネット無し〇
- グラッシー 差なし△
- 口当たり ネットあり〇
- 総合的なアロマ ネット無し〇
ペールエールの方はネットがある方が完成度が高くフルーティーな仕上がりになったが、IPAに関してはネットがない方がよりアロマが強烈で完成度が高かった。
上記の経験から、ホップバックはペールエールのようなオフフレーバーやクセを極力抑え飲みやすいビールを作る際にはかなり力になるだろうと感じた。
逆にIPAのように際立たせたいスタイルにはホップ投入量に対してのアロマの獲得が少なく落ち着いた味になってしまう危険がある。また、4g/Lを超えるドライホップにネットを利用しようとするとかなり巨大なネットが必要になりお勧めしない。
ネット(ホップバック)を使う際の注意点
洗浄ー中性洗剤、熱湯消毒。ホップバック利用による汚染は経験なし。
ホップバックの体積の1/5程度の量以上にホップを入れない。ホップは麦汁を吸って膨張する為、この程度でも回収するときにパンパンに膨らんでいる。また、入れすぎると麦汁との接触面積が減りアロマの獲得が減る。
詰まりー吊るすか磁石で調節する。自由浮遊が一番アロマを獲得できるが詰まる可能性大。
以上